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学位論文

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  2. 2019年度修士論文要旨

修士課程2年  任 怡

修論題目:「異なる展示方法を通した展示体験及び中国語に基づくコミュニケーション
        ー北海道大学総合博物館の展示体験を事例としてー」

   【キーワード : 博物館展示体験、中国語圏の在住者、展示内容の理解、認識の変化、生活との結びつけ】

 修士論文では北大に通学する中国語圏の留学生を被調査者として、アンケート調査とグループインタビュー調査の2つの手法で、被調査者が展示への理解、また展示を理解したうえで、北大、北海道への認識の変化、展示を見た後の発見や思考を明かにすることを目的とする。特に、①展示の制作側の伝えたい情報への理解、②展示内容への理解を作用する要素、③展示内容が被調査者にもたらした北大、北海道への認識の変わり、④展示内容による思考、生活との結びつけ、以上4点に着目し、議論を行ってきた。
 第1章では、「日本に滞在する外国人の増加」、「博物館に関する政策」、「外国人観光客が日本の博物館へ訪れる現状」、「留学生の受入」の四つの背景をまとめた。
 第2章では、日本の博物館が短期滞在の観光客と在住の中国語圏の方に対する対応、および日本の博物館における来館者調査の展示理解に関する先行研究をまとめた。具体的に言えば、政策面の影響で博物館が外国人に対応する外国語表記、ガイドツアー、ICT技術の利用などの設備が進んでいる。これにしたがい、全部の対応は翻訳という問題が地盤として行われてきた。多くの研究事例も翻訳の直訳に問題があり、翻訳者と博物館の共同作業が必要だと指摘した。一方、日本に在住する外国人、特に中国語圏の人が多い現状において、中国語圏の在住者に対して、「博物館の顔」と認識される展示に関わる先行研究が少ないと考える。特にある程度日本能力を持っている在住者は、多言語対応又は日本語だけの対応の状況において、展示に対する理解はどれぐらいあるのか、分からない原因はどこにあるか、さらに展示理解に基づき、個人の経験により、どのように解読するのか、関わる研究がまだ足りないと考える。そのため、本研究は日本に在住する中国語圏の留学生を対象に、中国語圏の在住者が展示への理解を明らかにすることに取り込んだ。
 第3章は、調査概要について述べた。大学博物館の特徴から、今回選定した北海道大学総合博物館の状況、及び調査を対象した展示「考古学から見た北大キャンパスの5000年」を説明した。調査地の説明に基づき、本研究に使用するアンケート調査とインタビュー調査の目的、流れ及び調査内容について述べた。
 第4章では、調査結果を述べたうえで、北海道大学総合博物館におけるアンケート調査の調査結果について分析と考察を行った。結果として、各グループの回答の正答率さらに、N1の有資格者及びコメントの分析により、中国語の介入により、被験者の留学生に対して、展示の理解へ影響を与えると考える。そのうえで、中国語を加えても、展示内容が理解できていないところが一層に明白に現れた。それは、「北海道の時代の流れ」、「松前藩」、「アイヌの習俗」など、日本人が普通に勉強した内容は何年間も日本に在住する留学生にとって、まだ分からない背景知識という点が明かになった。
 第5章では、アンケート調査の被験者から再編成した3つのグループを対象に、グループインタビュー調査の調査結果について、分析と考察を行った。今回の展示により、被験者の留学生の各設問の答えにより、展示内容を通して、考古学と歴史の視点から、北海道大学への認識がほとんど深まったと分かった。しかしながら、北海道への認識が少ないということが見えた。また、展示内容が生活の結びつけといえば、人により、展示内容が多少被験者の意欲を刺激、同じ経験のある人やほかの専攻の友達や、との話になり、展示以外にも学習にかかわる議論の可能性が現れた。さらに、展示内容を超え、留学生の個人コンテキストにより、夏の集中コースに参加するきっかけになり、民族問題や文化多様性への思考への喚起に役立った。つまり、留学生のの行動や思考に影響をもたらしたと考える。

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