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学位論文

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  2. 2019年度研究論文要旨

博士課程3年  大内 須美子

研究論文1
「博物館における自己評価 ―評価学的視座からの検討―」

 【キーワード :  博物館評価、評価研究、評価学(評価論)、自己評価】
 

 博物館評価を対象とする研究や調査はこれまでも数多く存在しているが、博物館研究者による視点で論じられる傾向にある。評価学は、欧米を中心に1960年代から研究され、日本では1990年代から行政評価を中心として、議論の蓄積がある。博物館における自己評価について評価学の視座から検討することで、①博物館自己評価の主体と定義の混乱、②評価手法の偏り、③業績測定型評価の利益相反という3つの問題群が抽出された。これらの解明のために、Web上で公開する自己評価報告文書の調査を実施し、結果について「自己評価の主体」「使命・目標の公表」「評価対象」「事実特定」「価値判断」「改善」という自己評価の定義に関わると考える論点で検討した。博物館自己評価は、①博物館が主体となり実施する評価だけではなく、その他にも設置者管轄部局、設置者政策部局、博物館グループ、指定管理者が主体となり実施されていること、②教育事業や企画展を中心として、多角的に経営全体を評価する傾向にあること、③評価報告文書であるのに、評価しない事例が認められること、④事実特定と価値判断については、現状はまだ理論に追いついていないことが示唆された。事実特定と価値判断は、「評価」の根幹であり、妥当性を吟味し設定する指標について情報を収集し、信頼性の高い判断基準で客観的な価値判断をすることが必要である。以上の検討を総合し、結論として本論における博物館の自己評価の定義を提案する。

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