教授
佐々木 亨SASAKI Toru
- 研究室
- 文学部棟504
- sasaki(a)let.hokudai.ac.jp
- URL
- 北大研究者総覧
- URL
- 北海道大学研究シーズ集(ミュージアムにおける評価の枠組みと手法の開発)
ミュージアムに足を運び、「展示がよくわからない」、「ホスピタリティを感じられない」との気持ちになったことはありませんか。国や自治体の財政状況がきびしくなる中、文化事業への風当たりは強く、ミュージアムも自分たちの資源や魅力、そのアピール方法を見つめ直す時期に直面しています。
私の研究は、そうしたミュージアムの評価システムを作る活動のサポートに主軸を置いています。評価に必要な要素は来館者数だけではありません。展示空間から感じる癒やしやスタッフの対応などさまざまな要素が、アンケートや聞き取り調査によって見えてきます。これらに加えて、ミュージアムが地域に果たすべき社会的役割(ミッション)を再確認し、具体的な評価指標や手法を館と一緒に構築していきます。
北海道大学には総合博物館というフィールドが身近に存在します。これまで、同博物館の展示リニューアルを大学院演習の一環として継続していて、学生たちは最前線に立ち、現場でしか味わえない経験を積んでいます。資料を提供いただく他学部の先生、展示業者など関係者とのコミュニケーションや相互のスケジュール管理、いずれも社会で求められる資質であり、若いみなさんにぜひ身につけてほしいスキルばかりです。
ミュージアムは理系と文系の枠を越えられる自由なプラットフォームです。多くの人間と交わり、社会に必要とされるミュージアムづくりに関わるダイナミズムこそ、みなさんと分かち合いたい私の研究への原動力です。
学生へのメッセージ
佐々木研究室においては、「博物館学」の研究分野では、経営方針の刷新を検討中のミュージアムから依頼を受け、現場スタッフとともに、新しい経営のかたちを創りあげています。その際、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とR&D(リサーチ・アンド・デベロップメント)を信条としています。机上の空論でミュージアム経営を語るのは御法度です。現場に立って、現場を観察して、そこで起こっていることをリサーチし、そのファクトをプレゼンで表現し、検討チーム内の合意を形成し、現場の改善を提案・実行していきます。これまで、経営を支援しているミュージアムや文化施設は、府中市美術館(東京都)、静岡県立美術館、三重県総合博物館などです。ミュージアムだけでなく、アートプロジェクトやホール、文化会館も研究対象です。
当研究室ではこのほかに、ミュージアムにおけるアイヌとの共同を考察する「博物館人類学」、人と動物の関係史を考察する「博物誌」なども研究することができます。
研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
主な業績
- 『博物館経営・情報論』佐々木亨・竹内有理・亀井修共著(財団法人 放送大学教育振興会)
- 『概説 博物館学』佐々木亨ほか共著(芙蓉書房出版)
- 『博物館経営論』佐々木亨ほか共著(雄山閣出版)
- 『文化人類学事典』佐々木亨ほか共著(丸善)
- 『講座・世界の先住民族 01 東アジア』佐々木亨ほか共著(明石書店)